「我が信心の歩み」 (連載第35回)


[三十五]  おかげはわが心にあり(7)

3)  乞食する運命を


   御教えに
『死にともないと思うから死ぬのじゃ』

『神一心に、お願い申せばおかげ頂けるものを、どうじゃこうじやと思うから、頂けるおかげが頂けん』

『信心しておかげがないと思うたら、命がけの信心をせよ。かけた命は神はとらぬ。よしんば取られても、もともとじゃないか』と承っていますが、これらはどれも、神一心にお願い申し、おすがり申すということの大事なことを、いろいろと言葉をかえて教えて下されたものです。それで、この一心の祈りによって、おかげを蒙った人の実例を話してみましょう。

 これは、あるお茶屋さんです。乞食する運命を一心の祈りで助かりました。家賃が二十五円総勢八人家族ですから、相当費用がいります。それに商売がひまで、一番売上げが多いときでも四十円少々、かいもくだめなときは、十円少々です。これが一日と違いますよ。一カ月の売上げで、やりくりをつけるといって、どうやりくりがつけられましょう。
 
 こんな状態になったら、物を売ろうが、金を借りようが、焼石に水で、とてもしのげるものではありません。苦しくてたまりませんから、またしても「もうどのくらいしたら、うまくゆけるようになるでしょうか」と私に尋ねておりました。「
 もう一年」「もう半年の辛抱」と私は七年間、その人の信心を引っ張り、元気づけておりました。その間、家賃が七カ月とどこおり、米代が四カ月たまった時が、一番のどん底でしたが、この七年間の祈りによって、この人は、金も借りず、質もおかず、物も売らずにおかげを蒙り、乞食でもしなければならない運命を救われました。

(4)    腹立ちを祈りに

 「今日は、仕入れのために本町へ行き、それから淀屋橋へ回って、ある店に寄ったところが〃品物を持って帰るのもいいけれど、少しは金を持って来てもらわないと困る〃と、店先で言われたのが、ぐっと、しゃくにさわり〃よろしい。二、三日中に持って来ます〃と、捨てぜりふを残して、その家を飛び出して来たところなんです」

 「それはむかつくなあ。借りは幾らほどあるのだ?」

 「金高は二百円ですが、実はこしらえる当てがないので、神様にでもお願いしようと思いまして……」
 
 「そんなに腹が立つなら、返したらいいではないか」

 「それが返せるくらいなら、何も苦労はしません」

 「返せないのなら、腹を立てる資格はない。では、神様に払って頂いたらいい。一生懸命にお願い申して、商売でおかげを蒙りなさい」

 「それが先生、私の店は小さくて、一番売上げの多い日で、八円ぐらいのものです。そんな店で、三日間に二百円も……」

 「あんたは、腹が立っているのと違うか。払いたいと思わないのか」

 「払いたいです」

 「それなら、一心にお願い申して、おかげを蒙ったらよろしい。どうでもこうでもおかげを蒙るという腹を決めて、一心にお願いしたら、大丈夫おかげが蒙れる」

 この人、腹が立っているから一生懸命です。まず第一日に、売上げが三十円ありました。

 「先生、おかげ頂きました。この調子でしたら、三日に百円ぐらいできます」

 「百円? 百円でいいのか」

 「そら必要なのは二百円です」

 「二百円だろう。二百円おかげを蒙るまで、勘定したらいけない。はじめに二百円とお願いしたら、二百円おかげ蒙るまで、途中で勘定したらいけない。三日に百円ぐらいなんて、そんな腹の小さいことでどうするのだ」

 第二日目は、八十円おかげを蒙りました。
 「先生、有難う存じます。八十円おかげを蒙りました。あともう九十円です」

 「また、そんなことを言っている。あと九十円だと思ったら、あと九十円というお願いになってしまって、お願いする力が鈍ってしまう。なんとしても二百円おかげを蒙る、という一心だ」

 それで、第三日の三時半頃に、おかげを蒙って二百円出来ました。喜んでお参りして来ました。

 「先生、おかげを頂きました。それが、きれいにお札ばかりで、二百円できました。一番しまいに来たお客さんが、前に貸していた二円あまりを払いに来て、十円札を出してくれましたので、こまかいものをつり銭に出しましたら、一文残らず出払いまして、札ばかりで二百円そろいました。有難う存じます」

 「それは、有難かったなあ。しかし、あんたの店で、それだけ売れたら、店がからっほになってしまっただろう」

 「いいえ、それが有難いことに、年季物・半端物が売れましたので、きれいに棚卸しができまして、思わず蔵ざらえをさせて頂きました」
と言って、非常に喜んでおりました。

 以上は、ほんの二、三の例に過ぎませんが、お互いは、どんなむずかしいことに出あっても、それに押し倒されてはなりません。まるまる神様を信じさせて頂き、どうでもこうでもおかげを蒙るという一心で、神様にお願い申しおかげを蒙るまでおすがり申して、祈りぬくことが、何よりも大事です。そうすれば、どんなにむずかしいことでも突破でき、どんな障害でも乗り越えることができます。

(この「我が信心の歩み」は、2008年5月に掲載されたものです)
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