かんべむさしのこぼれ話
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 かんべむさし

  1948年1月16日生れ 兵庫県出身の小説家、SF作家、エッセイスト。
  (かんべむさしWikipediaより)  金光教玉水教会信徒

 

連載第20回

ゴンベエかゴンノヒョウエか


――私らは、とるに足らんような、くだらんことを気にして、信心を放ってしまうようなことが多うおますさかい、気をつけんなりません。名が権兵衛やからって、権兵衛は百姓に決まってない。権兵衛でも総理大臣(山本権兵衛氏)になってます。――        (『信話 第八集』170頁)




  この引用文中、「権兵衛は百姓に決まってない」と言っておられるのは、「権兵衛がタネまきゃ、カラスがほじくる。三度に一度は追わねばならぬ」という俗謡があったように、昔からその名前が、農家のおじさんを表す代表例のようになっていたからでしょう。

 山本権兵衛は薩摩出身の軍人で、日露戦争のときには大将で海軍大臣。大正時代の初期と後期に、二度、総理大臣になっています。そしてその名前ですが、偉くなってからゴンノヒョウエと呼ばれたりし、自分でもそう言っていたので、人から「ゴンベエかゴンノヒョウエか、どちらが本当ですか」と聞かれたりもしたとのこと。

 阿川弘之氏の『軍艦長門の生涯』(新潮文庫)によると、そういうとき御本人は、「余計なことを聞くな」とごまかしていたそうですが、もちろんゴンベエが本当で、条約文などにローマ字でサインをするときには、Gombayと書いていたそうです。

 ゴンノヒョウエは、海軍関係の神社で祭典があったとき、神主が祝詞の中にある姓名を口調良く読み上げるために、「山本のごんのひょうえ」と読んでくれたので、それが気に入って使い出したようだとのこと。海軍大将で総理大臣を務めたような大物でも、やはり「とるに足らんような、くだらんことを気にして」いたことがわかるという、ある意味、人間的でほほえましいようなエピソードです。


 
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