「教風」 (連載第30回)


初代大先生になりかわって


 私は最近NHKの朝の連続テレビ小説「ちりとてちん」を毎日楽しみに見ています。普段の私は、朝のテレビ小説も夜のテレビドラマもほとんど見ることはありません。そんな私が、なぜ今回は熱心にみているのか。そもそものきっかけは出演者にありました。

十一月までのこのドラマの展開を紹介しておきますと、徒然亭という落語の門流があって、その師匠がある理由で落語の世界を離れた。で、弟子たちも、いったんはバラバラになってしまいます。それが、ヒロイン(主人公)の女の子の懸命の働きによって皆の心がひとつにもどってきて、師匠も帰る決心をする――概ねこんなところでしょうか。

 その徒然亭の一番弟子を演じているのが桂吉弥さんという方で、実
は私はその方と面識があるのです。

 金光教の教会の子弟で落語家として活躍している桂かい枝さんという方がおられます。かい枝さんに玉水記念館で定期的に落語会を開いてくださいとお願いし、快く引き受けていただきました。

 ところが、かい枝師匠も次第に忙しくなって、そう頻繁にはおいでいただけなくなりました。かい枝師匠は、「こういうのは続けることが大事なんです」と、自分のスケジュールのあかないときは兄弟弟子をさしむけてくれました。それが吉弥さんだったわけです。十一月にも吉弥さんが出演してくれました。

 このドラマを見てい、私もいろいろ思うことがありました。落語の世界でも門流によって微妙に伝わるものが違うらしいのです。古典芸能の世界では、いまこのドラマのように跡を継承する人がいないため、多くの門流でこれまで伝承されてきたものが消えようとしているようです。

 ○二代、三代の継承
 では、私たち信心の世界ではどうでしょうか。例えば、この玉水教会では、創設したのは湯川安太郎という非常に立派な信心をされた先生です。信心してまもなく神様のお知らせを頂けるような高いお徳の持ち主であり、、教会にはたくさんのお参りがありました。それでもそのあとを継承する人がいなかったらそこで途絶えてしまったわけで、そのために後継者である二代大先生に徳を渡すような働きに努めました。

 二代大先生もしっかり徳を受け継がれたので教会は盤石で続きました。さらに三代へも続き、私にいたっているわけです。

 私は、お結界の御用にはいる前に必ず、「生神金光大神取次の御用を初代大先生になりかわってつとめさせていただきます。どうぞ聞き違い、取り違いのございませんよう」とご祈念してからお取次ぎさせていただきます。

 以前、三代大先生が、「あるとき、つい自分がこの信者を助けねばならない、と思ってお取次ぎしてしまったことがある。しかし、おかげ頂けなかった。初代大先生になりかわってということをはずすとおかげにならぬ」と話されたことがありました。私がいつも肝に銘じている話です。

 初代大先生はその信心の徳により、苦難の続く湯川の家の罪メグリをお取りはらいいただく大きなおかげを受けてくださいました。といってもあとに続くものが勝手なことをしていてはそのお徳を受け継ぐことはできません。教祖様は「子孫繁盛、末広がりの道である」と保証してくださっています。それがまだ、そうは至っていないようならば、まだ信心の頂き方が足りないのだと言えます。一層に気を引き締めて信心の道を進んでまいりたいと存じます。


(この「教風」は、2007年12月に掲載されたものです)
TOP
バックナンバー一覧