「教風」 (連載第215回)


 金光大阪 健闘



金光大阪 健闘

 今年の夏はスポーツの夏、四年に一度のオリンピックイヤーで、ジカ熱が心配、治安が不安だのと言われつつ、始まってしまうと日本選手の活躍もあって大盛り上がりのリオでした。
 
でも私にとっては、その前に高校野球の夏でした。というと、「今年は金光教関係校は甲子園に行きませんよね」と、いぶかられるでしょう。
 確かにそうです。しかし金光大阪高校が、全国一、二の激戦区大阪大会で大健闘し、もうちょっとで出場というところまで行ったのです。
 彼らのさわやかな戦いぶりを振り返ってみたいと思います。

 ○全員の力
 大阪大会決勝で履正社高校に12対0で大敗してしまいましたものの、最後まで踏みとどまった金光大阪は見事でした。相手の履正社は主力投手を二人擁しているのに、金光大阪はこの猛暑にほぼ一人で投げきってました。

 監督さんが、「二番手の選手を育てられなかった私の責任です」と敗因を語っていました。
 試合後すぐに玉水教会にお礼参拝してきた彼らは吹っ切れたのかニコニコしていました。お届けした主将が準優勝の報告に続けて監督、コーチ、仲間、先生方、家族の協力あってのことです、と感謝の言葉を連ねるのに私は嬉(うれ)しくなりました。

 監督は、「ここまで来れたのはレギュラーになれなかった三年生のおかげです」と、特に言い切っておられ、そのため、お礼参拝にも三年生部員全員を連れてこられました。

 近頃の野球強豪校というのは、素質のある生徒を引っ張ってきて少数精鋭で鍛えるのだそうです。めが行き届くし効率がいい。しかし、金光大阪は逆です。野球の好きな普通の子が集まって、その中からレギュラーを選ぶ。成績が悪くてもダメだそうです。効率が悪いと言えば悪い。

 でもいい所もあります。大阪大会では、鳴り物は禁止、甲子園のように吹奏楽はできません。応援はもっぱら声のみ。すると部員の多い金光大阪は応援が強力ということになります。事実、他校の監督の中には金光大阪と対戦するのを嫌がる人もいるとか。それくらい迫力のある応援なのです。出場できなかった仲間の声と思いを身に受けて選手たちはプレイしている。なるほど、出場できなかった部員のおかげです、と監督の言われるのも分かる気がします。もう一つあります。

 高校野球の醍醐味は、選手たちの成長をこの目で追える、ということです。こればかりは、プロ野球ではなかなか見られません。今年も、「金光大阪は投手も打撃ももう一つで」という声があったようです。
 相手の履正社は打撃もすごくて、試合が始まると金光大阪はたちまち守備位置を下げねばならないほどでした。

 それに比べ金光大阪はふつうの高校生。その高校生が、一戦一戦重ねるごとに締まり、自信をつけ大きくなっていく。それも一人ひとりが我を出さずにチーム全体に奉仕していくことのみを目指して向上していく。見ていて楽しく頼もしく、そして、「あいよかけよ」の世界だな、と私は思いました。

 金光の御名(みな)を冠するにふさわしい彼等の成長ぶりを、たった七試合の中でまざまざと見せてもらいました。そして、考えさせられました。
 人はどのような時に力を発揮できるのか、成長できるのか、我を出さず素直に仲間を思いやる心をかもしだすことができるのか。……信心の課題を見つけた夏でした。




(この「教風」は、2016年9月に掲載されたものです)
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