「教風」 (連載第217回)


 気は長く心はまるく



  行きつけの床屋さんにけったいな額がかかっています。前から妙やなあ、と思っていたのですが先日、借りてきてしげしげとみてみました。
 大阪丸ビルのオーナーで自称「大日本ドケチ教」教祖を名乗る吉本晴彦氏の色紙なのだそうです。
 紙面の右半分に気という字を引っ張って縦長に書いてあります。これで「気は長ーく」と読むのだそうです。
 左上に、心という字を書いてまるく囲んでいます。これは「心はまるく」。

 その下に、腹という字を横に寝させて書いてあり、これで「腹を立てず」。なるほど縦ではない横なので、たてず、か。
 その下には人と書いてあり脇に小さく己とあります。「ひとは大きく己は小さく」と読みます。
 以前はよくテレビなどに登場した吉本さんらしい機知に富んだ色紙です。また中身が素晴らしい。もちろん吉本さんは信者さんではありません。が、信心の勘所のようなところを上手に表しています。
「気は長く」というのは,起こってくることに一喜一憂しないでどっしり構えていく。よいことは喜び悪いこともお試しと考えて取り組んでいく。大先生がよく引くみ教え「よいことばかりがおかげではない、悪いこともおかげである」のように信心するものの大切な行き方を意味しています。
「心はまるく」「腹を立てず」は言うまでもなく説明するまでもなくお道の大切な教えです。

 「人は大きく己は小さく」は私はこう解釈しました。 初代大先生は、私ほど足らん先生はない、とよくおっしゃいました。信心は自分が足りない者であることを自覚することがなにより大事。いうところの「運・鈍・根」のみ教えです。足りないからこそ足してくださいと真剣に願えるわけですし、自分を小さくできれば他人の良いところも見えてきます。

○行き方も教えてくれるのが信心
 とまあ結構な色紙です。
 そして私は、信心てありがたいなと思わずにはいられませんでした。
 それは例えば「腹を立てず」。そうです、腹たてたらいかんし損なことは誰だって知っています。でも世間の人は腹立てをどうやって鎮めるのでしょう。信心している人なら、取りあえず教会に参ろうとなるはずです。憎い人のことを祈ってやれ、そんなことできませんよ、と言いながらでもお広前に体を運び神さまの前へ出ると、なにかしら先ほどとは違い怒りもさめてくるはずです。そういえば初代大先生は、これが怒らなければならないことか、怒らんでもいいことか考えてから怒れ、とおっしゃっていたな、などと教えも浮かびます。そうなるとかなり冷静になっているはずです。

 信心はつまりどこへ行けばいいかを教えるだけでなく、どう歩いていけばそこにたどりつけるかということを道筋から教えてくださっているものなのです。
 ある程度成功したような方なら、「商売の秘訣は気はながぁくです。心はまぁるくです」と教えてくれます。
 ではどうしたらそうなれるのか。
『信話集』はじめ信心の教えでは具体的に、足をこうだしてここを踏んでと丁寧に教えてくださってます。
 神さまと実際に取り組んだやり方が一番早道で一番確かなのです。この道以上にはっきりした道はありません。






(この「教風」は、2016年11月に掲載されたものです)
TOP
バックナンバー一覧