かんべむさしのこぼれ話
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 かんべむさし

  1948年1月16日生れ 兵庫県出身の小説家、SF作家、エッセイスト。
  (かんべむさしWikipediaより)  金光教玉水教会信徒

 

連載第32回

坐摩(ざま)前の古手屋


それからは、もう、この羽織は私のものではない。羽織は古手屋の軒先にぶら下げられましてね、甲の人から乙の人の手に、というように転々と人手にわたって、「これ、わしのもの」と言うて、着られることになりますねん。――            (『信話』第九集60頁)





古手屋は古着屋のことで、いまの言葉でいえば衣料品のリサイクルショップです。江戸時代の着物類はすべて手縫いでしたし、布地自体も手織りですから、現代のような大量生産の商品はありませんでした。だからおのずと長く大切に着て、さらにそれを払い下げるということも多かったのでしょう。また、明治以降も経済面で余裕のない人が多く、多少余裕があっても「始末」のために、古着を買う人が多かったのだろうと思います。
中央区久太郎町四丁目、御堂筋に面した南御堂(東本願寺難波別院)の裏手に、「せともの祭り」で知られた坐摩神社があります。「ざま」は通称で、正式には「いかすり」神社というのだそうですが、その坐摩神社と南御堂との間の筋が、江戸時代から古手屋が集まっていた場所でした。「坐摩前」とか「坐摩の前」とか称されていたそうで、その一軒を舞台にした、『古手買い』という古い上方落語があるほどです。
 また天保初年、そこに十合(そごう)伊兵衛という人が大和屋という屋号で古手屋を出し、明治十年、心斎橋に移って十合呉服店と名前を変えたとのこと。それが後年、「そごう」百貨店になったわけです。 坐摩前の古手屋街は明治の終わり頃までつづいたそうですし、西区の靱あたりからならすぐですから、ひょっとしたら商売人時代の安太郎先生も、そこで何か買っておられたのかもしれません。





 
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